スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

武蔵野美術大学入学試験問題数学の研究

※注意※
 この記事は武蔵野美術大学とは一切関係のない一個人が、全くの趣味で書いている記事です。従って、その結果について当方では一切の責任を負いません。また、この記事を根拠に武蔵野美術大学に対して問い合わせを行うなど、武蔵野美術大学に対して迷惑を及ぼす行為も厳に慎んでください。
 武蔵野美術大学受験に際しては大学当局の発表する情報を常に収集してください。匿名掲示板や大学非公式ブログサイトや理科好きおじさんのヘボブログではなく、大学当局からの発表を信頼してください。


まさかいないとも思うんだけど、念の為。


目次

1.はじめに
2.武蔵野美術大学入学試験数学問題の傾向と対策
3.配点と傾向から考えられる武蔵野美術大学受験計画
4.武蔵野美術大学の入学試験に対しての方針
5.入学試験採点現場についての考察
6.入学試験についての情報を議論することの是非
7.美術大学が入学試験に数学を課す意義
8.なんでこんなことやっているの?
9.おわりに



1.はじめに

 私は二年ほど前に武蔵野美術大学芸術祭に行って、ものの勢いで入学試験問題集を購入しました。私が美大の入試問題集を購入するというのは、もう本当に勢いだけで無駄の極致に思えたのですが、実は数学の問題も出ていて、なかなか面白いものです。美大の数学ってどんな入試問題が出るのか興味があったんですね。

 この記事をご覧になる方に対して、言うまでもないことを承知の上で書き添えておきますが、ここに書いてある文章は美大受験とは何の関係もない個人が、美大の受験問題に興味を持って解いてみた一個人の感想でしかありません。私としては美大受験とは関係ない素人が美大の受験問題をどう見るかという視点も、見る人によっては興味があるのではないかと思い、掲載しました。したがってここで書いたことが実際にどれだけ実態に即しているかの評価は私には出来かねますし、受験対策上どれだけ有効であるかもわかりません。この記事を信頼するかしないかはあくまで個人の自己責任でご覧いただければ幸いです。

 また受験に関しての正確な情報は、伝聞や非公式ブログサイトや匿名掲示板や理科好きおじさんのヘボブログ(つまりここ)ではなく大学当局の発表を信頼してください。また傾向と対策その他受験情報はオープンキャンパスや進学相談会などの大学当局の主催する信頼のおける場で入手した情報を利用頂いた方が間違いないかと思われます。


2.武蔵野美術大学入学試験数学問題の傾向と対策 

 武蔵野美術大学は旧制帝国美術学校以来の伝統を持つ、私立最高峰の名門美術大学というだけあって、さぞや捻りまくった問題がそろっているのだろうと思っていたのですが、意外と簡単な問題がそろっています。

 対策としては白チャートを一通りやってから、過去問を一通り見ていけば十分じゃないでしょうか。高得点を目指したい方は黄チャートををやれば鬼に金棒だと思いますが、過去問をたくさんやるかセンター対策をすることも、受験上は一つの選択だと思われます。数学が得意な方はぜひ満点を目指したいところです。
 逆に苦手な人は、あれやこれやと問題集に手をだすより、教科書や傍用問題集、あるいはそれに類した問題集を丁寧に理解していく方が確実です。入試レベルの問題が苦手でも、学校の授業が分かるのであれば見込みはあると思われます。学校の授業がどうしてもわからないというのであれば、中学レベルまで戻ることも考えます。この際には高橋一雄『語りかける中学数学』などが参考になると思われます。
語りかける中学数学語りかける中学数学
(2005/08)
高橋 一雄

商品詳細を見る

本書は大変ぶ厚いので、一瞬ひるむかもしれませんが、心配は無用。本書の厚さは分かりやすさの厚さです。安心して取り組んでください。

 さて、確かに武蔵野美術大学の入学試験問題は入試数学としてはやさしいのですが、何の捻りもないのかといえばそういうわけでは決してありません。
 一言で言ってしまうと、難しくはないが変な問題が多いです。何らかの形で図形的なイメージを膨らませたりパターンを強く意識させる問題を好んで出題してくる傾向があるようです。だからやたらな勉強は必要ないけど、可能な限りたくさんの過去問を見ておくことは対策上絶対必要ではないでしょうか。恐らく予備校に通えば過去問の蓄積がたくさんあるはずですから、一問でも多くの過去問を見せてもらうべきです。

 あと、武蔵野美術大学出版会から出ている本で「もういちど数学を 」という本が参考になるのではないでしょうか。
もういちど数学をもういちど数学を
(2004/01)
不明

商品詳細を見る

この本は数学の面白い話を寄せ集めたような本で壁紙文様の対称性を見分けるチャートとか数当てゲームから2進数の説明を行ってみたり具体性を重視した、普通に読み物としても面白い本です。この本でも図形やパターン的なものは教材として多数取り扱われています。たぶん、この本の著者は武蔵野美術大学の数学の入試問題作成に何らかの形で関わっているかもしれません。極端に難しい本ではないので、数学で高得点を狙いたい人は、目を通しておいても悪くないと思います。
 また、「7.美術大学が入学試験に数学を課す意義」でも詳細に検討しますが、これを機会に数学や科学に対して親しみを深めることが有効な対策と思われます。そのような目的には、東京工芸大学の教授の手による「アートのための数学」や「デザインのための数学」を一読しておくことが有効と思われます。

アートのための数学アートのための数学
(2008/05)
牟田 淳

商品詳細を見る


デザインのための数学デザインのための数学
(2010/10/23)
牟田 淳

商品詳細を見る

 
 「もういちど数学を」はやや教科書然としたところがあるのですが、「アートのための数学」「デザインのための数学」のどちらも読み物として楽しめる本ですから、こういった本から親しみを持っていくのも方法と思われます。

 続いて、武蔵野美術大学の職員さんが書いていらっしゃるブログに注目しましょう。これはあくまで職員さんが一私人として書いている大学非公式ブログです。

ムサビ日記「室長の手羽」2006年2月18日
http://www.musabi.com/ichiro/archives/2006/02/18_0446.php [外部リンク]

 ここでは「ムサビの試験は点をあげるために問題を作っている 。」と問題作成者の本音をちらっと書いています(勝手にリンク貼っていいのかとも思いましたがここ(http://www.musabi.com/ichiro/archives/2008/08/07_0427.phpムサビ日記「室長の手羽」2008年8月7日)で「いい 」と書いているので、問題ないでしょう)。これは英語での話なので、数学までそうとは言い切れないのですが、この方針が数学でも貫かれているなら、数学では部分点が相当に高く評価されている可能性があります。武蔵野美術大学の数学は基本的に記述式なので、計算ミスを恐れずにゴリゴリと論理を展開していけば、理屈が正しければ結構な点数が付く可能性があります。また前提条件や解答方針をメモしておくだけでも、それが解答に結びつく可能性があるものであれば何らかの点数がつく可能性があります。同じ記事で『「ダメなところを見る」のではなく「いいところを探す」のがムサビのやり方』とも書いています。この方針を明かしているのは対策上かなり重要と思われます。


3.配点と傾向から考えられる武蔵野美術大学受験計画

 配点一覧を見ていくと、非常に不思議なことがわかります。ここでは合格最低点などの数値は憶測の範囲ですが、公表されている配点一覧で実際に受験計画を立ててみました。例えば建築ですと 「国語100 外国語100」 が必須で、選択で選択A「数学200 鉛筆デッサン100」、選択B「数学100 鉛筆デッサン200」、選択C「立体構成100 鉛筆デッサン200」と、三つの受験選択科目コースがあります。この中でA選択を選ぶと500点中400点が学科ということになります。正確な数字がないので憶測でモノを書く以外にはありませんが、仮に単純にボーダーラインを65%に設定すれば目標点は325点ですから、数学で180点を叩き出せれば、国・英をそれぞれ75点ずつで理論上は実技が0点でも合格点になります。

 もちろん実際には実技0点の受験生なんか入れないでしょうし、美大で実技0点の学生なんて、そんなバカな話があるとも思えないし、絵画教室に通うなどの実技対策を行うことができれば、実技がさすがに0点ということはないと思います。どうにかこうにか実技で30点くらいもらえれば、国・英の負担はもっと軽くなるはずです。
 建築のような工学的な分野とハイブリッドになっている学科が数学を重視するのは真っ当だと思います。しかし、もっと驚愕なのは映像学科や基礎デザイン学科のような芸術の王道を行くような学科でさえ、数学ができると武蔵野美術大学への入学可能性は飛躍的に向上してしまうことです。

 映像学科は「国語100 外国語100 感覚テスト150」が必須であとは「数学150」、「小論文150」、「鉛筆デッサン150」の三科目から一科目選択です。ここでもボーダーを65%の325点として、数学を選択してしまうと120点かそこらは楽勝で取れますから、国英を少しがんばって各80点とれば感覚テストは40点ほどで理論上は合格点です。150点満点の40点なんて百分率で言えば3割弱です。

 同様に基礎デザイン学科に至っては開いた口が塞がりません。「国語100 外国語100 小論文100」 が必須で、「数学100 基礎造形100」が選択になります。そこでここも単純に合格点を65%の260点に設定すると、数学80点を取るとしても残りの180点は国英論で三等分すれば各60点ずつで理論上は合格点に達してしまいます。デザインを標榜しつつ数学を選択してしまうだけで、実技を全く経ることなく合格点を取れてしまうというのは、どうにも理解に苦しみます。
 繰り返しますが、上で議論を展開したボーダーは勿論仮定の数字です。私が述べたかったのは学科科目中心に受験作戦を立てても、志望学科によっては大きく合格に近づくのではないでしょうか、ということです。

 先ほども述べたように武蔵野美術大学の数学の問題は基本的には白~黄チャートレベルです。白チャートは教科書傍用の参考書として設計されている本ですし、黄チャートも傍用参考書として生徒に持たせている学校も多いはずです。ですから、これらをやるとかやらないとかいうのはよほど苦手でもない限りは受験以前のレベルで対処できるはずです。高一で怠けていたとしても、高二の冬休みか春休みあたりで一気に目先をつけておけば、別に怖いことはないと思います。逆に国立大学を併願する人なら対策は原則として不要のはずです。
 つまり、恐らくは多くの受験者が得意科目として選択してくるであろう実技科目よりは、恐らくは受験者の少ないであろう数学を選択した方が、受験上は優位に立てる可能性があるのです。特に受験科目選択によっては実技科目は二つに跨ってしまう建築学科や映像学科などは、数学を中心にした受験作戦をとることにより、てきめんに有利になる可能性があるのです。


4.武蔵野美術大学の入学試験に対しての方針

 ここまでは入学試験を受ける側についての話題をいろいろ書きましたが、しかし、逆に入学試験を実施する側の論理として考えた場合、武蔵野美術大学がある程度入学試験問題に対してポリシーを持っていることは、数学の問題で課している学習範囲が建築学科とデザイン情報学科で異なっていることを見れば明らかです(数学っぽいことができてりゃできりゃそれでいいというんなら、数学の問題を、恐らくは各学科共通で、しかも恐らくはマークシートで作るはずです。この辺に関してはいずれ詳しく論じます)。

 教育にポリシーを持っている大学であれば、入学試験問題は「こういう学生がほしい」というメッセージになっているはずです。また元広報さんのブログから引用しますが、実技試験ですと「うちの学科にはこんな人材が欲しい 」というメッセージがあるようです。この思想が数学の試験にも反映されているであろうことは、建築科で数学Ⅱを課していること、デザイン情報学科で数学Cを課していることを考えれば疑いの余地はありません。この問題は「7.美術大学が入学試験に数学を課す意義」でもう少し詳細に論じます。

 実際問題として、理工系大学ならいざ知らず、美術系大学で数学の問題を作ることができる教員は限られてくるはずですので、大きく傾向を変えるのは難しいのではないでしょうか。数学に関する限り、美大のような数学の試験作成の面で人的資源に恵まれない環境では、出題方式や傾向を大きく変えてしまうと中の人がパニックになる可能性があります。そうすると「入学試験に採点ミス」「問題の作成ミス」などの致命的な問題が発生するリスクが出ますから、それは入試担当者としては絶対に避けたいはずです。外部の業者なり人なりに委託すれば簡単ですが、求める学生像、つまり入学試験にある程度のポリシーを持っている限り、来年度以降数年間の教育の片方の主体となる学生の選択を外部に委ねるなどという真似は、絶対にしないはずです。
 もっといえば、美術の実技問題の作成に対して決して条件が恵まれているとは言い難い(しかも、恐らくは実技試験に比べて決して受験者が多くはないであろう)数学の問題をわざわざ作るということは、それ自体が一つの方針であり主張です。
 以上から考えて、あくまで私個人の判断ですが、少なくとも短期的には入学試験問題の傾向が大きく変わることはないものと考えます。逆に言うと、傾向を読まれていると思ってコロコロと傾向を変えてくるような大学であれば、その程度の大学だと思って間違いありません。

5.入学試験答案採点現場についての考察

 武蔵野美術大学での試験実施方針に続いて、実際に入学試験問題を作る側、解答を採点する側ではどのようなことが行われているのでしょうか。それを検討してみるのは対策上価値があるのではないでしょうか。以下に書くのは森毅「数学受験術指南」から考えられる入学試験問題の採点状況について、憶測の範囲内で検討してみました。

 恐らく美大での数学の入学試験を作問できる教員の数なんて、教養課程と専門学科の教員を合わせても10人かそこらではないでしょうか。私が実際に武蔵野美術大学のサイトで見た限りでは、専門で数学を学んでいた教員は教養課程に一人、それ以外の理工系出身者は建築科に数人いるほかは、あとは映像科に一人、工業デザインに一人、デザイン情報学科に二人です。恐らくはこの中で数人のチームを選抜して作問委員といちゃもん役を分担しあうのではないでしょうか。美術が専門の学校ですから、本当は客観式の試験にした方が楽なはずですが(というか、めどいから廃止したい?)、それでも記述式を取っているというのは、恐らくは多少なりとも受験生の思考過程を見ようという意図があるのではないでしょうか。思考過程を見るつもりがなければ、試験をする側の論理として客観式以上にメリットのある試験はないはずです。採点の裏側では、部分点の一つをめぐって大変な議論が繰り広げられているのかもしれません。最終的には私学故の制約もあるかもしれませんが、少なくとも武蔵野美術大学に関する限り、作問者も採点者も人間であることは意識しておいてよいと思います


6.入学試験についての情報を議論することの是非

 さて、入学試験の実施というのは、大学の運営に当たって大変な重大事になりますから、入学試験問題を書き立てるようなまねをして「ここまで書いて大丈夫なのか?」と思われる方もいるかもしれません。念のため書いておきますが、そもそもここで書いていること自体が憶測に基づいて書いている部分が多数なので、つまり全くの的外れな記事だった可能性もあるわけです。よしんば正しかったとしても私がヘボブログごときで何を書こうとも今後、少なくとも短期的には傾向が大きく変わることは絶対にない、つまり私ごときが何を書いても全く問題はないものと確信します。以下に理由を挙げます。

1.かの学校が求めている学生像を明確に持っている限り、それは入学試験問題に明確に反映されるはずです。それは「4.武蔵野美術大学の入学試験に対しての方針」の記事にも書いたとおりです。求めている学生像を明確に持っている限り、入学試験の方式や傾向を変えてくることはないはずです。ヘボブログごときが何を書こうと、学校が教育方針、すなわち入試の方針を曲げることは絶対にないです。それは東大京大の難関国立大学の入学試験問題の出題傾向が頑ととして変わらないこと見れば、疑いの余地がありません。

2.やはり「4.武蔵野美術大学の入学試験に対しての方針」で書きましたが、出題ミスなどの入試事故を防ぎたいという観点から考えた場合、そう簡単に傾向を変えることはできないはずです。

3.「2.武蔵野美術大学入学試験数学問題の傾向と対策」「4.武蔵野美術大学の入学試験に対しての方針」では元広報さんの記事から少し文章をお借りしましたが、逆に言うと大学当局の人間が一私人として発言する限り、ここまでは守秘義務の範囲外ということです。ついでに書くと、現在この元広報さんは法人企画室室長の職にあります。大学の法人企画室というのは法人の運営方針自体を決定する、すなわち法人の将来にかかわる大学の中枢です。
 つまり私は一私人の発言と全くの公開情報、それと数種の受験エッセイなどを根拠に、ともすれば憶測同然の議論を組み立てているわけです。したがってこの記事が万一入試関係者の目に触れたところで、ヘボブログごとき何ほどのもでもありません。逆に言うと理科好きおじさんのヘボブログごときを恐れるような大学なら、その程度の大学と思って差し支えありません

4.このような研究記事によって傾向が明らかになるということは、逆に受験生の立場からすると「この程度の話はわかってから来い。学生としてコの字の正門をくぐるのはそれからだ」と言われているのと同じはずです。過去問を販売して模範解答まで付けて公表していても不合格になって涙をのむ人がたくさんいるということは、私ごときが何を書いてもちゃんと競争が成立するということです
 もう一つ書くと、万一私の記事が影響(?)して数学受験者が殺到したとしても、単純に合格最低点が高くなるか採点が辛くなるかのどちらかです。その傾向がさらに数年間続けば、問題の難易度が増すか出題範囲を広げるだけです。数学受験者が増えるなら、むしろ大学側にとっては願ったりかなったりでしょうから…。


7.美術大学が入学試験に数学を課す意義

 ではなぜ、武蔵野美術大学では入学試験に数学を課しているのでしょうか。最終的なことは入試担当者に聞くしかないのですが(聞いても答えないでしょうが)想像力を働かせていくと

1、(美大なりに)多様な入試科目を提供することでそれなりに多様な能力や関心のある学生を確保したい、もしくは学生の美術だけにはまらない多様な個性を評価したいという、何らかの美術教育上の意図があるのではないでしょうか。また学科の比率を高めることで日常の教科学習も(実技同様に)熱心に行っているというということも評価しているのではないでしょうか。

 これに関しては、非常に興味深い発言があります。これ は多摩美術大学サイトで公開されている動画です。

多摩美術大学のtamabi.tvより「タマビとムサビから美大を知る」より
http://tamabi.tv/admission/musa-tama.php[外部リンク]

この動画の第一話15分30秒から16分あたりの武蔵野美術大学職員手羽イチロウ氏(画面左側、眼鏡をかけて青いTシャツ着ていらっしゃる方です)の発言に注意してください。この発言を押し広げて解釈すると、上記の憶測がまさに当てはまるのではないでしょうか。数学を入学試験科目に課すことで、数学や科学の世界の現象やトピックにも美術的方法論を持って切り込める人材を求めているということではないでしょうか。
 これは実際の例があります。下にあげた本をご覧ください。

元素生活 Wonderful Life With The ELEMENTS元素生活 Wonderful Life With The ELEMENTS
(2009/07/16)
寄藤 文平

商品詳細を見る

本書は化学の啓蒙書として新しい本ですが、最近の本というだけでなく、著者が武蔵野美術大学出身のデザイナーである寄藤文平氏によるものです。
 従来化学の分野で一般向けの啓蒙書といえば、米山正信氏の『化学のドレミファ』シリーズ
化学のドレミファ〈1〉反応式がわかるまで化学のドレミファ〈1〉反応式がわかるまで
(1997/07)
米山 正信

商品詳細を見る

のような本が「王道」で(これもでも、まだ中学生あたりがメインかな…)かこさとし氏のような絵本での解説は子供向けがメインでした。
太陽と光しょくばいものがたり太陽と光しょくばいものがたり
(2010/08/10)
藤嶋 昭、かこ さとし 他

商品詳細を見る

 そして両者の経歴を比較してみましょう。
 米山氏は旧制浜松高等工業学校の応用化学科を卒業してから旧帝国商工省や東大をへて教員を勤めています。かこさとし氏も東大の工学部を卒業してから昭和電工の研究所に勤務している経歴があります。
 これに対して寄藤文平氏の経歴を見てみましょう。寄藤氏は武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科を中退後、広告や本のデザインの仕事を手がけており、化学とは本来触れ合う余地がありません。もちろん監修がついていますので、寄藤氏一人で何から何までというわけにはいかないでしょう。しかし、自分の本来の専門とは関係のない分野へ切り込んで、自分で勉強しながら一つの本を完成させていくという幅広い教養、少なくとも知的好奇心を持ってほしいということだと考えることができます。
 同様の例をもう一つ見ていただきます。
おもしろくても理科 (講談社文庫)おもしろくても理科 (講談社文庫)
(1998/03/13)
清水 義範、西原 理恵子 他

商品詳細を見る

 本書では共著となっていますが、清水氏は小説家、絵を担当されている西原氏は漫画家で、武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科の卒業です。このように、分野をえり好みすることなく自分の知的好奇心をもって吸収していくことで、結果として自分の活動の幅を広げるのではないでしょうか。
 もうひとつ新しい例を挙げましょう。最近、学研から創刊された児童向け科学雑誌『ぷれりか』です。
従来、子供向け科学雑誌といえば、誠文堂新光社の『子供の科学』や、もう少し対象年齢が下の層向けの福音館書店『かがくのとも』が中心でした。
 『ぷれりか』は『子供の科学』と『かがくのとも』の間のきわどいところが読者層かと思われますが、この雑誌の大きな特徴は武蔵野美術大学出身の若手有名デザイナーの森本千絵氏が編集に携わっていることです。クリエイティブディレクターという役職はちょっとわからないのですが、スタッフの中でも名前が上の方に来ていう役職者であるということは、編集に関してそうとう責任のある立場と見て間違いありません。そして『ぷれりか』の創刊号を見ると、総監修は「ゆらぎ理論」の第一人者佐治晴夫氏です。以下に子供向けといえど、科学雑誌の編集ですから、科学に対しての継続的な自己学習が必要なことでしょう。このようなときに自分から興味を持って新しい世界に飛び込めるか、その時に自分の持っている美術的な方法論やノウハウをどう生かせるかを考えることもまた、クリエイターとしての活動とみているのではないでしょうか。いまや科学(特に啓蒙活動)は、美術界隈の人たちにとって最も新しいフロンティアではないでしょうか。

 これに関連して言及をすると、昨今の理科教育、科学教育の世界ではサイエンスコミュニケーションという言葉が登場しています。サイエンスコミュニケーションについては、色々言い方はあるのですが、さしあたりここではざっくりと科学の普及・啓蒙活動として理解していただくとして、最近ではサイエンスカフェなどの試みと同時に、博物館でも公開実験などのワークショップが盛んにおこなわれるようになっています。こうした啓蒙活動で必要なことは、「誰が、誰に、何を伝えるか」です。この時に必要とされる技能はデザインの技能ではないでしょうか。サイエンスコミュニケーション関しては内田麻理香『科学との正しい付き合い方』
科学との正しい付き合い方 (DIS+COVERサイエンス)科学との正しい付き合い方 (DIS+COVERサイエンス)
(2010/04/15)
内田 麻理香

商品詳細を見る

や、川村康文『よくわかる、おもしろ理科実験』
よくわかる、おもしろ理科実験―身近な現象の探究から環境問題へのアプローチまで (東京理科大学・坊っちゃん選書)よくわかる、おもしろ理科実験―身近な現象の探究から環境問題へのアプローチまで (東京理科大学・坊っちゃん選書)
(2009/03)
川村 康文

商品詳細を見る

の第三章などを参考にしてください。前者はサイエンスコミュニケーションの一般論として、後者は理科実験の教材製作の実際を考えた時、美術屋であればどのような技能が生かせるかという実際的な面で参考になると思われます。
 「誰が誰に、何を伝えるのか」は、数学の答案作成でも強く意識してください。もしどうしても数学に興味が持てないようであれば、答案を作成して自分の解答が正しく伝わるかどうかを考えることもデザインの内、と考えてみてはいかがでしょうか。あるいは、数学の答案は武蔵野美術大学へのラブレターであり、ラブレターを受験者の魅力が出しやすいように待ってくれている、ともいうことができます。そのための記述式の試験なのです。逆に言うと、書き方が雑な(字が下手とか図が歪んでいるとかではなくて、数学的な意味で)答案は、採点者の心証を激しく害する恐れがあります。

2、特に建築や情報系の学科のようなところでは実際問題として数学のわかる人がいないと困るという事情があるのではないでしょうか。建築はアートとしての側面を持っていますが、同時に技術でもありますからね。建築学科の数学がⅠ、Ⅱ、Aになっていること、デザイン情報学科の数学がⅠ、A、Cになっていることに志望者、受験者は注目すべきです。また、図形的能力やパターンへの意識など何らかの形で美術的な要素に結びつくような能力を数学によって養ってもらいたいと期待しているのではないでしょうか。

 実際にカリキュラムをみた場合、建築学科のカリキュラム では数学の入試範囲が見合うと思われる千葉工業大学の建築都市環境学科とカリキュラム を比較すると、構造力学や数学に関しての科目が、明らかに少ないことがわかります。千葉工業大学では一年次の前期で微分積分と線形代数という理工系数学の基礎をすでに終了し、一年次後期で微分方程式を学習しているのに対し、武蔵野美術大学の建築学科ではカリキュラムに示されている数学関係の科目は、基礎数学と応用数学の二科目しかありません。そして、シラバスを見る限りでは、数学に関しての講義は中学卒業程度の数学を前提としているようです。しかし、美大でありながらMathemathicaを使用できる環境ということは、その気になって数学を勉強すると、かなり面白い成果を残せるのではないでしょうか。ただし、美大でも理工系でも構造力学に替わるものではないことを考えた場合、数学を経ないで受験すると、数学や力学関係の科目のフォローの少なさはあとあと苦労するのではないでしょうか。建築学科の選択に数学の配点が重いコースがあるということは、建築学科に関しては数学で受験するのが本筋だということではないでしょうか。

 また、その他の科目も千葉工業大学では実験に物理実験だけでなく化学実験まで課している一方、武蔵野美術大学では基礎科目として彫刻や絵画まで課しています。これは武蔵野美術大学が教養教育を重視していることの表れと考えますが、建築学科においても建築を美術として考えているであろうことは疑いの余地はありません。これはどちらがいいという問題ではなく、自分自身が建築に対してどういう話題に興味を持っているかで、建築というものが全く異なった存在になるということではないでしょうか。

 続いて、デザイン情報学科に関して、入学試験科目の範囲が比較的見合うと思われる東邦大学の情報科学科数理知能科学コースのカリキュラム と比較しましょう。東邦大学では一年次に「代数幾何」「基礎解析」という科目名でやはり理工系数学の基礎である微分積分と線形代数を学習しています。並行して情報理論を数学的に裏付けるべく「情報数理」という科目シリーズで写像や集合、論理などを学習し、そして最終的にこれらを代数、解析の分野と連絡すべく学習し、これらの知識を自在に操るための演習、高学年になると複素関数などのさらに高度な数学が登場し、計算分野においても暗号などの高度な数学に裏打ちされた新しい知識を学びます。一方で武蔵野美術大学のデザイン情報学科 サイトを見る限りですと、正直いって何言ってんだかよくわかりません。しかし、シラバスを見ると大部分はデザインを冠した科目で占めれてているあたり、電子計算機を使って何かをやりたいということなのではないでしょうか。そして例によって低学年次には絵画や彫刻などの美術系科目を課しており、高学年次に進むとポートフォリオ作成などがあります。これは憶測ですが、電子計算機をツールとしてデザイン的な何かを行いたいということでしょうか。

 参考に千葉工業大学の情報工学科のカリキュラム を見ると計算機関係の科目のほかにロボットや電子関係の科目もあり、ここでは電子計算機そのものが話題の中心のようです。以上、情報科学、情報工学、デザイン情報学とみてきましたが、おおよその住み分けとしては

デザイン情報学…コンピュータ使ってなんかしたい

情報工学…コンピュータそのもの

情報科学…コンピュータやプログラムを裏付けている理論

と考えることができます。

 したがって、武蔵野美術大学のデザイン情報学科で入学試験科目にⅠ・A・C(もしくはⅠ・A)を課しているということは、整式や集合や論理・命題を中心にある程度理解して、簡単に数学的な見方を理解していれば、とりあえずはいい(でも、難しいことを要求しているわけじゃないから、うちくるのに全く知らないのはちょっと勘弁してね)ということではないでしょうか。現に2004年のデザイン情報学科・芸術文化学科共通問題では、あからさまに論理回路の問題が出ていたり、アンケートの結果から回答パターンを類推するなど、非常にわかりやすい問題が出ています。

3、試験科目に数学を選択で課すことで国立大学との併願をしやすくするか、逆に(いささか邪道ですが)「実技がどうしてもダメだが、絶対にムサビに入りたい!!!!!」という受験者を学科試験によって救済しているバイパスになっているのではないでしょうか。
 すでに「3.配点と傾向から考えられる武蔵野美術大学受験計画」で検討したように、単純に「武蔵野美術大学ンに合格したい」というだけで受験作戦を考えるのであれば、数学を利用するのが一番費用対効果が高いと考えることができます。しかも、数学に限って言えば受験勉強に(真っ当な労力は要求するとしても)無茶な学習時間を要求しているわけではないです。
 これは仮定の話ですが、もし武蔵野美術大学がデザインについて絵を描くことや造形物についてのみ考えているのではなく、課題発見からそこに至る解決策の設定という一つのプロセスとして考えているなら、大学入学試験に合格するというプロジェクト自体が一つのデザインであると考えることができるのではないでしょうか。実際、数学で受験ができる学科がデザイン系の学科のみであること、他の美大で数学受験が可能な大学は少ないことというのは、非常に思わせぶりです
 もちろん、「武蔵野美術大学であればどこでもいい」というのは、本来は邪道でしょう。しかし、私は決してそうは思いません。私は美術のことは知りませんから、武蔵野美術大学でどのようなことが学ばれているのかも知りません。しかし、いやしくも武蔵野美術大学を受験しようというのであれば、ジャンルの好みはあるとしても本人なりに美術に対して何らかの思い入れがあることは間違いないことでしょう。そしてここに分類されるような人たちは、美術を学ぶ以上に武蔵野美術大学で学ぶ(少なくとも、武蔵野美術大学の学生として暮らせる)ことに喜びを見出す、要するに入学すれば燃えるような愛校心を持ってくれる可能性がある人たちです。理由の如何は知りませんが、これはこれで明確な目標です。
 武蔵野美術大学はいかに名門とはいえ私立大学ですから、国立大学と競争をすれば微妙な立場となることでしょう。そういった社会的な条件の中で国立大学を目指して仮面浪人を公言するような人たちよりは、「オレは武蔵野美術大学で学べている!将来のみうらじゅんや森本千絵と同じ机で学べている!」と思えるような人たちの方が、教育効果を期待できるということではないでしょうか。そのために好きでもないであろう数学に取り組める人たちに対しては「(プロジェクトに粘り強く取り組める忍耐力や感心の広さもデザイン能力の内だから)デザインの学科なら入れてやる」ということではないでしょうか。

 憶測の域を越えませんが、以上のような理由が介在しているのではないでしょうか。もちろん美大ですからやたらに数学を難しくして数学科みたいになっても意味がないので、やさしい(ただし美術教育上展望があると思われる)問題を作って、基本的に努力量を評価することになるのではないでしょうか。
 いずれの理由であるにしても、共通して言えることでろうことが一つあります。数学受験は数学を選択すること自体が一種のボーナスである可能性が高いということです。数学選択者は他の受験者とは異なる自分の選択に誇りを持っていいと思われます。



8.なんでこんなことやっているの?

 非常に微妙な質問です。確かに私がいくら研究をしても、別に儲かるわけじゃないですからね。主だった理由は二つあります。
ひとつは数学コンプレックス、もうひとつは知恵比べです。
受験コンプレックスや数学コンプレックスの方はそれなりに深いのですが、理由自体は月並みです。かつてできなかった数学をよその大学の入試問題で憂さを晴らしているだけです。
 もうひとつの「知恵比べ」について少し言及しましょうか。大学入試問題といえど人間が作るものです。そこには思想があるはずです。とはいえ東大、京大、東工大をはじめとした難関国立大学や理系大学は、それなりに重くて素人がちょろちょろ見ていくにはややきついものがあります。しかし、逆にセンター試験や文系総合大学の数学は「無難」なものが多いので、見ていてもあまり興味をそそられません。そういう意味で美大の数学の問題は、実施に当たって多くの制約があるであろう中で美大なりの捻り方を作ってくるので非常に見ていて面白いのです。
 それでもゲームとして見た場合、出題者は回答者に対して圧倒的に有利な立場です。ただ、その中でもわずかに相手の思考に迫れるかと思える瞬間があるのです。その辺でしょうか。



9.おわりに

 以上、武蔵野美術大学入学試験数学問題から考えられることについて論じてきました。恐らく武蔵野美術大学は、相性にもよるのでしょうが、入学試験問題に数学を利用することで合格しやすくなる大学と思われます。

 しかし、このようにして入学しても入学自体はできるのかもしれませんが、実技の連続になるであろう美大のカリキュラムから脱落する可能性もあります。その辺のところまでは全く考慮しておらず机上の空論の可能性が高いです。しかし、逆に言うと「7.美術大学が入学試験問題に数学を課す意義」ので挙げた「3」にカテゴライズされる「逆立ちしてでもムサビに入りたい」タイプの学生でしたら、それで第一志望の大学に入れるというのなら、検討の価値はあるのでしょうし、そういうタイプなら入学してからの厳しいカリキュラムに、いくらでもついていく気力も湧いてこようというものではないでしょうか。

 昨今、ドラマやら漫画やらで取り上げられること多々ある武蔵野美術大学ですが、学科試験の組み合わせを駆使すれば、意外と敷居を低くすることができるのではないでしょうか。逆に「そこに気付くのもテストのうちだ」といわれれば、そうなのかもしれませんが。

この記事では、誠に勝手ながら元広報さんのブログから引用させていただいています。元広報さんのブログははくどいようですがあくまで大学非公式ブログです。この本の監修者の個人サイトです。(何でオレは武蔵野美術大学の関係者でもないのに本を二冊も宣伝しているんだろう…)

ムサビ日記 -リアルな美大の日常を-ムサビ日記 -リアルな美大の日常を-
(2007/07)
手羽イチロウ

商品詳細を見る




この記事は2008年8月に初稿を完成しました。
2008年10月24日に改稿板を完成しました。
2008年12月14日に「数学受験術指南」より記事を一部移し、改題と二回目の改稿を行いました。
2010年1月3日に4訂バンを完成させました。
スポンサーサイト
プロフィール

Mr.Ouch

Author:Mr.Ouch
理科好き(≠得意)おじさんです。

にほんブログ村 科学ブログへ
にほんブログ村 科学ブログ 自然科学へ
にほんブログ村 科学ブログ 科学実験・工作へ

最新記事
カレンダー
09 | 2008/10 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
月別アーカイブ
カテゴリ
最新トラックバック
最新コメント
ブロとも一覧

けふはいざよひのつき
検索フォーム
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。